2019年7月27日(土) 1021回目
<成長とは何か>
致知2019年2号(致知出版社)
「人の成長のために働かないかぎり、自ら成長することはない」より抜粋
ドラッカー学会理事 佐藤 等氏
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人は、仕事をとおし自らの強みを生かし、スキルを高めると同時に、人とともに仕事をすることで人間性を鍛え、自らの人格を高め、深めていきます。そしてその自分をもって人の役に立つことを学んでいきます。それが成長です。
現代は組織社会です。一人で世の中の役に立つのではなく、組織の使命(ミッション)の実現を目指して、その一隅で仕事をし、同時に責任を果たすのです。お客様に対する責任、ともに働く者に対する責任、会社に託されたお金に対する責任・・・、責任には種々ありますが、どの責任も人間の器を鍛え成長させてくれるものです。
組織で働く者の場合、責任を自分独自の基準で決められるものではありません。組織は社会的な役割を果たす道具ですから、責任は社会を基準として決まります。
組織で人と働くということは、成長する環境に自らを置くことです。組織は、人類が考案した社会的な道具です。組織に使われるのではなく、道具として自らの成長のために使いこなしていきたいものです。マネジメントとは、組織の使い方であり、そこに属する者すべてが身につけておくべきものなのです。
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松下幸之助氏は、「人生-仕事=0」と仰っています。つまり仕事とは人生そのものであるということです。私たちは多くの時間を仕事で使っていますから、その仕事が単なるお金を稼ぐための道具となれば虚しいものとなり、お金を求めて次々に会社を転々とすることになるでしょう。
仕事とは生活の糧でもあるし、自己成長するためのものでもあると考えています。なぜなら、仕事は楽ではありません。辛くて厳しいものです。多くの人がかかわり、様々な人間関係が存在します。自分勝手なこと、自分都合なことばかりを言うことは許されません。その中に身を置き、自分の役割を懸命に果たしていくからこそ、人間的技量が磨かれ、器の大きい人間へと成長していくものだと思うのです。
佐藤氏は、成長とは、仕事をとおして人間力を高め、人の役に立つことを学ぶこと、と言っています。とても共感できる言葉です。