２０２３年１月５日（木）　１０６２回

 ＜この世は全て借り物＞

****************************************************************
　これは生き方の問題なのですが、最終的に僕が欲しいのは、ロボットで世の中や未来を変えることなんです。だから、僕はある時から人に褒められること、お金を儲けること、有名になることを捨てました。これは無敵ですよ。
　お金をもらった瞬間、企業とは元請け、下請けの関係になるんですね。僕には貸しはあるけれども借りはない。だから、２７万人の社員のいる大手電機メーカーの社長とも対等でいられるんですね。「僕はあなたのパートナーです。お金は要りませんから、一緒に世の中を変えてくれますか」と堂々と言える。

　皆、人間は必ず死ぬということに気づかないんですよ。悠久な宇宙の歴史の中で１２０年生きようが、一日生きようが、それは誤差です。重要なのは何をして、何を残すかなんです。「明日これをやろう！」と思っている人には明日は来ない。人に褒められたい、嫌われたくないと考えるよりも、本当の自分の心の声を聞いて、この世にどれだけのものを残せるかに時間を使うべきだと思います。

　僕はいまも睡眠時間が一日２時間以下です。こういうと皆、驚くんですが、睡眠時間が長くないといけないというのは都市伝説だと思っているんです。これも僕のポリシーなのですが、人間のハードウェア、ボディとしての能力は皆、ほぼ同じ。自分の能力に気がついている人がたまたまそれを使いこなしているだけです。普通のことをしていたら、普通の結果しか生まれません。

　僕は思うんです。いま持っている服や時計、パソコン。それどころか、この体すら僕のもではない。その証拠に１００年後、僕の体は土に還っている。つまり、この世のすべては借り物だということですね。自分のものって何だろうと考えると、唯一残るものは自分の仕事。それだけです。だとしたら、この生きている間の借り物をボロボロにして返してやろうと。能力も時間もボロボロに擦り切れるまで使い切ってやろうと。

　致知出版社：「一日一話、読めば心が熱くなる３６５人の仕事の教科書」より引用

 

　森信三氏は、「人はこの世に生まれ落ちた瞬間、全員が天から封書をもらって生まれてくる」と言っている。「その封書を開いたら、あたなはこういう生き方をしなさい、と書いてある。しかし、せっかく天からもらった封書を一回も開かないままで死んでいく人が多い」
　藤尾秀昭著　小さな人生論（致知出版社）より

****************************************************************
　仕事は生活の糧を稼ぐためだけにあるならば、お金を求めて職を転々とし金の亡者となっていく。自らが金の切れ目が縁の切れ目をつくっていくわけです。お金は便利であるけれども無ければ不自由であり魔物でもある。お金に取りつかれると人相まで変わっていく。修羅の道である。

 　森信三氏は、人は「天から封書」をもらって生まれてくると言っています。この世の使命と役割である。私は社長の息子として三代目の社長となっています。大した能力があるわけでもなく社長となっているからには、使命と役割があると考えたいのです。アイデックスで働く社員さんが、仕事を通じて働く喜び、生きがいを感じてもらいたいのです。だから、『致知』を読んで、本を読む読解力、感想を書く文章力、人前で話す発信力を身につけて、自己成長して人生のステージを一段、二段と上げて欲しいと心から願っているのです。社員さんの意識レベルが向上すれば、私一人の力より、より大きな力となって社会に貢献できる力となっていくものと考えているのです。

　人の喜びといものは、人様のお役にたっているということが最高の喜びであると学びました。まさに稲盛和夫さんがおっしゃる「利他の心」というものです。社員さん一人ひとりの成長が会社の未来であり、社員さんの成長こそが社会への貢献する力となっていくと信じております。皆さん、一緒に学んでいきましょう。