2016年8月18日(木) 701/1000
<もう一人の自分 その2>
皆さんおはようございます。
致知8月号(致知出版社)より抜粋 その2
「禅語に学ぶ:本来の面目」
鎌倉円覚寺管長 横田南嶺氏
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泰道先生に私がまだ高校生の頃に教わったことがある。ある中学生が、当時松陰寺(しょういんじ)に住されていた通山宋鶴(つうやまそうかく)老師に手紙を出したという話だ。松陰寺で修行をしている若い人達の様子が新聞に紹介され、その記事を読んだ中学生が、自分もこんな修行をしてみたいと手紙を書いた。
どうしてお寺で修行をしてみたいと思ったかというと、その子は自分で自分が嫌になるのだという。自分は感情に激しやすい、すぐにすねてしまったり、泣いたり喜んだり、喜んだと思ったら怒ったり、時には激しく恨んだりもしてしまう。こんな感情に振り回されてばかりいてしょうがないような自分でも修行が出来ますかという手紙を出したのであった。
それに対して、宋鶴老師は丁寧な返事を書かれた。
「禅の修行は、何も心が強い人だけがするものではありません。皆誰しも弱いものなのです。朝起きようと思っても、もう少し布団の中にいたいと思う自分もいます。でももう少し布団の中にいたいという自分に負けてしまっては何もなりません。禅の修行どころか何もできないでしょう。朝起きる時間が来たら、もう少しなどという自分に『おい、起きろ』と声をかけて、飛び起きるのが禅の修行でもあります。
あなたは自分のことを泣いたり喜んだり、怒ったりすねたりと随分沢山の心をもっていますね。どれが本当のあなたでしょうか。どれもその時々の一時の感情にすぎないのではありませか。
そんな一時の感情を苦にしなくてもいいのです。それよりも、いま自分は泣いていると自分を認める、気がついているもう一人の自分があなたに中にいることに気がついたことがありますか。今僕が喜んでいると、喜んでいる自分を知るもう一人の自分があなたの心の中にいることを考えてください。このもう一人の自分を身体で学ぶのが禅の修行なのです。
だから本当に自分を学びたいという熱意さえあれば誰にでも禅の修行はできるものです。」
という内容である。
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人生は修行というが、どんな修行なんだろうか。そもそもなんで人生が修行場なんだろうかと考えてしまいます。
仏教の世界では、人間は何度も生まれ変わるといいます。現世においてたくさんの苦難というステージが与えられ、それを乗り越えることで魂の修行となり、魂が浄化され、次に生まれかわる時に、さらにステップアップした場所が準備される。とのことだそうです。
この世とあっちの世界という次元が存在して、人間の想像をはるかに超えるた世界があるようです。そう考えると目に見えるものだけが全てではないと思いたくなります。この世が全てで、死んだら終わりと考えてしまえば、あまりにも虚しいし、「何のために生きるのか、苦しむのか」という、人生の存在意義を失ってしまうように思えるんです。
この世の一番の修行は、やっぱり人間関係でしょうか。人間関係に関しては本当に辛く厳しい修行をしているように思えてなりません。人生の多くの悩みや苦しみは人間関係の中から生まれていると言っても過言ではありません。
夫婦関係、親子関係、友人関係、上司部下関係、同僚関係など、全ての人間関係の中から悩みが次から次へと生まれ、私たちを悩ませてくれる。
人間関係の悩みの根源を考えてみると、自己中心的な意識である。つまり、自分優先、自分さえよければというわがまま勝手な意識である。しかし、多くの場合、そのことに気づいていないのである。これが極めてやっかいなのです。
そもそも自分と相手とは考えも価値観も違う。良い悪いではなく、どうもこの人とは、相性が悪い人がいる。それ以外に意地悪な人、嫌な人など、さまざまな人間関係に悩まされ続け、この世という人生を歩み続けているのです。
だから、そのことを十分に理解し、人間関係で上手くいっていない時には、まずは、「相手を認める」ということからだと思うのです。しかし、これが本当に難しい。だから修行となるわけです。
そういう強い意志をつくっていくためにも、毎日が修行と考え実践していくことが大事となります。自己意識をコントロールできなのに、相手の気持ちを理解するなんて難しいと、つくづく悩む日々なのです。一番わかっていないのは自分自身のように思えています。
最近は朝起きると二度寝をしてしまいます。パッと起きることができず、怠け心が顔を出してきます。もう一人の弱い自分に支配されぬように、明日より目が覚めたら、直ちに起きることを実践していきます。