2019年7月30日(火) 1023回目
<お天道様の声>
致知2019年3号(致知出版社)
「すべては恩返しのために」より抜粋 その1
MTG社長 松下 剛氏
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―――25歳で創業されたということですが、そもそも起業を志されたきっかけは?
それは私の生い立ちに関係がありまして、実は、私は松下家に養子として引き取られた人間なんです。そのことに気づいたのは小学校5年生でした。
当初は「なんで俺だけが・・・・・・」って悶々(もんもん)とした葛藤を抱えていました。ただ、普通であればいびり倒す人が一人くらいいてもおかしくないんですけど、両親も三人の兄貴も、実の子や弟じゃない私を一回も差別せず、本当の家族として大善の心で育ててくれました。
あの時に、恨みつらみに心が染まってしまってもおかしくなかったと思いますが、そういう素晴らしい家族に運よく恵まれたことで、道を踏み外さずに済んだんです。
そのことを絶対に忘れちゃいけないと思い、私を養子に迎えてくれた父は松下光男っていうんですけど、いまの本社ビルは、「HIKARIビル」と名づけ、6人いる子供の名前にはすべて「光」という漢字を入れています。
―――受けた恩をしっかりと刻まれているのですね。
私が松下家に引き取られたのは、生後間もない頃だったそうです。さすがに一人で生きてと言われても無理じゃないですか。もともとなかった命、生かされた人生だと思った時に、「俺は松下家を豊かにするために、ここに養子に来た。いつか必ず社長になって、家族に恩返しをしたい」と小学校5年生で決意したんです。
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松下さんは辛い環境であったにも関わらず、小学校5年生の時に自分の使命を悟られた。全ては恩返しのためであったと言うのです。もし、憎しみで心を支配されていたら、生き方が大きく変わっていたことでしょう。
人間は一人ひとりに使命と役割があるといいますが、それが分からないんですよ。この世に生まれた時に神様がちゃんと教えてくれていればいいんだけど、そうはいかないようなんです。だから自分で気づかなきゃいけないんだと、松下さんの生き方から学びました。気づくためには、お天道様の声を聞かなきゃいけない。お天道様の声が自分に届くようにするためには、誠実に生きていくことなんじゃないかと思うのです。