2021年6月16日(火) 1052回
<会社は人間修業の道場>
「一日一話読、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書」より引用
致知出版社
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私は「会社は人間修業の道場」という言葉を使ってきた。修行の場だと思えば、多少のことは辛抱できる。いまは泣きたいこと、怨みたいことがあったとしても、それを修業と捉えて乗り越えた時、自分が一回りも二回りも大きく成長していることを知るだろう。私自身、これまでの人生の中でそのような体験を何度も味わってきた。
そのように考えると、会社と自分との関係を単なる雇用関係と割り切るのは、あまりにもったいないし、残念な仕事観である。
こんなことを考えたことがあるだろうか。
会社では誰かが売り上げを上げて、その中から社員に給料を払う。あなたの給料が額面で三十万だとしよう。会社があなたのために負担しているのは三十万だけだろうか。少し思いを巡らせてみればわかる。社会保険料や厚生年金の半額は会社が負担している。この他にも事務所の家賃、光熱費、水道代、事務用品・・・ザッと計算すると、給料の三倍、約九十万円のお金が掛かっていることを知らせなくてはいけない。
自分の給料を捻出するのに、一体どれくらい売り上げを上げなくてはいけないのか。そのことを考えてほしい。そうすれば、「給料が安い」「仕事がきつい」と不平ばかり言っていられないはずだ。反対に、働かせていただけることへの感謝の心が生まれてくるのではないだろうか。間違っても近年の風潮のように会社イコール悪などという発想には至らないだろう。
毎月二十五日に決まった額の給料がもらえる。これを当たり前と思うのもまた明らかな幻想である。その幻想から目が覚めるのは、パタッと給料が入らなくなる時だ。会社が倒産した時、クビになる時、自己都合で会社を辞めた時、そのいずれかである。
サラリーマンが嫌で会社を辞め、軽い気持ちで居酒屋を開く人がいる。ところが、サラリーマン時代の感覚は全く通用しない。鉛筆一本から家賃、人件費まですべての費用を一人で負担しなくてはならない。目を覚まされるのは、その時だ。独立して成功するのは百人のうち二、三人だという。国家資格や特別な技術を持つ人でも一人で開業して安定した収入を得るのは難しい。
だとしたら、生活できる給料が保障されているいまのこの環境に感謝して、精いっぱい仕事に打ち込むほうがよほど賢明だと私は思う。苦しい時は、甘え心を振り切り、修行と割り切って乗り越えるのだ。続けていくうちに新たな世界がきっと開けてくることだろう。
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今の環境が当たり前と思っているとすれば、それは大きな勘違いです。世界を見渡せば仕事もなく、多くの路上生活者がいる国もあるのです。日本という国は幸せだと思いませんか。
仕事があることを当たり前と思うか、有難いと思うか。有難いと心から思えることで仕事に対する姿勢が大きく変わってくるものです。
会社や仕事は、愚痴や不平不満の対象となりがちですが、それを口にした所で何も変わることはありません。愚痴や不平不満は、感謝の気持ちが足りない証であると思って、自分を律していくバロメーターにしていきましょう。人間ですから、愚痴や不平不満が出てしまいます。そんな時こそ、この判断基準を思い出して自分を自制していくことです。それが出来れば、自分の人生が幸運への道に導かれていくように思うのです。
私たちは、すでに大きな幸せを手にしているのです。家族と幸せに暮らせて、仕事があって給与を頂ける。有難いことですね。