2023年1月1日(日) 1058回
<孝経を読む:その1>
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曾子(そうし)が『論語』の中でこういっております。
「終わりを慎み、遠きを追う」
「終わりを慎む」とは、親が亡くなったときに葬儀を丁寧にするということです。そして「遠きを追う」とは、その先祖の遺徳(いとく)を忍んで先祖祀りをするということです。これが孝行としての非常に大切なことだと曾子はいうのです。生きた親に孝行するのはいうまでもなく大切だけれども、同時に「終わりを慎み、遠きを追う」ことを忘れてはいけない、と。
先祖を思うということは自分を大切にすることにもつながります。今日ここに我々があるのは、先祖のおかげによってあるのです。また、それだけに自らも子孫にとってよき祖先となることが大切である。子孫からよき祖先であったといわれるように、自らを慎んでやっていかなければなりません。だから、先祖祀りをするということは、同時に自己自身を修めていくことにもつながっていくんですね。
「孝」というのは、生きた親に対するものだけではない。先祖を守るというのも孝行なのです。
「孝経 人生をひらく心得」 伊與田 覺著(致知出版社)
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新入社員教育で特に力を入れているのが「親孝行」と「ご先祖様に思いを馳せる」、ことです。親は最も身近な存在ですが、若い時ほど親の存在に感謝する気持ちを忘れておりますし、時にうっとうしいと思ったりします。ところが、親を亡くした時にその存在の大きさに気づくわけです。だから、今すぐ心を改めて親が生きているうちに親孝行をしていこう、と伝えています。親孝行は、自分の命の本(もと)に感謝する第一歩なのです。親がいなければ自分の存在はありません。どんな理由があろうとも親に対する感謝は、生命付与の一点に尽きるのです。そのことに思いに至れば、どんなに辛いことがあったとしても力が漲ってくるものだと考えるのです。そして、ご先祖への供養は、ご先祖様の存在を感じるということです。顔や名前は知りません。でも必ずご先祖様はいるのです。十代遡れば1024人のご先祖様がいらっしゃいます。そのうち一人でも欠けていれば、自分の存在はありません。だからご先祖様を思い、お墓参りをするということは大変意義深いことであり、自分を大切にすることにもつながります。
「墓を大事にするということは、親祖先を大切にするということと、同じことであるからであります。親祖先を大切にし、そのおかげを思うということは、自分自身の生命を感謝し、生命をより充実させることにほかなりません。」
(『ここに倫理がある』丸山竹秋著)
お墓参りにいってご先祖様とつながれば、大応援団のご先祖様がお導きをくださいます。私はそれを信じているのです。信じることが明日の希望となっていくのです。