2017年1月22日(日) 858/1000
<三つの”さ”>
皆さん、おはようございます。
修養のすすめ(致知出版社)より引用 その6
著者:北尾吉孝氏
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「子育ての秘訣」として安岡正篤先生は「子供には高いものを豊富に与えておかねば成人して偉くならない」と言われたそうです。子供それぞれがどういう境遇に生まれるかにより、その人の衣食住の程度が決まってくるわけですが、なぜ、安岡先生が上記の発言をされたかと考えてみるに、一つは心を豊かにするということは、子供の時にあった方が良いということではないかと思います。
例えば、私は個人的に埼玉県嵐山町に社会福祉法人慈徳院(こどもの心のケアハウス嵐山学園)という情短施設(情緒障害児短期治療施設)を設立しましたが、その施設の子たちからは施設で与えられるご飯だけでなく、「たまにはどこかに食べにいきたい」という要請があるのです。つまり、仮にそのどこかがラーメン屋といった所であったとしても、子供なりに何となく贅沢な気持ちになるということであって、そういうことが子供たちに非常に良い影響を与えるというふうに、昔ある施設の園長先生が言われていました。
また私はバスをチャーターし、50人くらいを収容している施設の子供たちを東京ドームホテルのバイキングに招待したことがありますが、やはりその時も「こういう贅沢な雰囲気を一度でも味わわせると、子供の心が豊かになります。全く経験せずに過ごすより、本当に豊かになります」とそこの園長先生も私に仰っていました。
当該バイキングに招待した子供たちの多くは、「こんなに美味しいものを食べたことはない」と言って後に礼状を書いて送ってくれましたが、そうした手紙の中の一つに「本当に有難う御座いました。こんなに美味しい物は食べたことがなかったです。これからも食べることはないと思います」というふうに書いてあったことに、私は大変なショックを受けました。と言いますのも、その時私は「子供たちは自分の未来をも、非常にネガティブに考えている」と思ったからであり、「こういう子供たちを何とかしないといけないなぁ」と強く思った次第です。
子供というのは、例えば「あの人はいつも良い物を持っているのに、自分の持ち物は・・・」といった形で常に相対観で物事を考える傾向があり、常に負けていると感じている人はひがみっぽくなったりするということが結構あるように思います。他方でそれほど裕福でなくとも多少の無理を承知の上で親ができる限りのことをしている状況の中で育った子供というのは、あまりがつがつした面がなく豊かな心というのが育っているように感じます。
そして、そういう子供は一つの落ち着きや品位といったものを持っているように思われ、甘やかすということとは少し違った意味で、安岡先生が言われたように「子供には高いものを豊富に与えておかねば成人して偉くならない」ということもあるのではないかと思います。
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安岡先生は、 日本のトップ・リーダーたちに、わが国の進むべき道を常に指し示してこられました。「平成」の元号の考案者でもあり、大先生であることは間違いありません。 その安岡先生の「子供に高いものを豊富に与えておかなければ、成人してから偉くならない」というお言葉には奥深さを感じます。
贅沢でもなく、甘やかしでもなく、よい物に触れるということはその人の感性を豊かにするということではないでしょうか。
昨日に続き、この文面を女房に読んで聞かせました。合いも変わらず間髪入れずに意見が返ってきたんです。
女房が言うには、子供に対して、
一、さびしい思いをさせない。いつも一緒だよ、という安心感を与えること。
一、さもしい思いをさせない。贅沢でなくても豊かな生活、豊かな心を育むこと。
一、さむい(寒い)思いをさせない。暖かい生活をすること。
「この三つの”さ”だよ」というんです。なんだか僕が小さく感じました。
タイガーマスクは、子供の味方でした。
以上です。