2016年9月26日(月) 740/1000
<本物になる>
皆さんおはようございます。
致知10月号(致知出版社)
「自らを省みて自ら変わる」より抜粋 その1
志ネットワーク「青年塾」代表 上甲 晃氏
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松下政経塾で14年間熟成を育ててきた中で、やるきのない人を教育するのも難しいが、自分に自信のある人を教育するのも難しいことを痛感しました。自分は偉いと思い込んでいる人は素直に言うことを聞かない。松下政経塾に当初、エリートを自認して偉そうにしている塾成がたくさんいました。人の言うことを聞かず、理屈が多く、指導には大変苦労をしました。
そんなに大きな示唆を与えてくださったのがマザー・テレサでした。
マザー・テレサの言葉に常々深い感銘を受けていた私は、この人に会いたいという思いを募らせ、ついに後先考えずにインドのカルカッタ(現・コルカタ)へ渡りました。彼女に直接、どうしても聞いてみたいことがあったからです。
当時のカルカッタは人口一千万人で、至るところに生死も分からない行き倒れの人が転がっていました。全身から膿(うみ)を出している人、ウジ虫の湧いている人、とても側に寄れたものではありません。しかし、マザー・テレサと仲間のシスターたちは、一番死に近い人から順番に抱きかかえて、死を待つ人の家に連れて行き、体を綺麗に洗ってあげ、温かいスープを与えて見送るのです。せめて最後の瞬間くらいは人間らしくと願ってのことでした。
運よくカルカッタの礼拝堂でマザーに面会することのできた私は、「どうしてあなた方は、あの汚い、怖い乞食を抱きかかえられるのですか?」と尋ねました。マザーは即座に、「あの人たちは乞食ではありません」とおっしゃるので、私は驚いて「えっ、あの人たちが乞食ではなくていったい何ですか?と聞くと、
「イエス・キリストです」
とお答えになったのです。私の人生を変えるひと言でした。マザーはさらにこうおっしゃいました。
「イエス・キリスト」は、この仕事をしているあなたが本物かどうか、そしてこの仕事をしているあなたが本気かどうかを確かめるために、あなたの一番受け入れがたい姿であなたの前に現れるのです」
目から鱗(うろこ)が落ちる思いでした。マザーの言葉を伺った瞬間、私が松下政経塾で、あんな人は辞めてほしいと思っていた熟成が、実はイエス・キリストであったことに思い至ったのです。
自分はこれまで、他人を変えようとするあまりどれほど人を責めてきたことだろうか。
しかし、いくらそれを続けたところで人を変えることはできない。人生でただ一つ、自分の責任において変えられるのは自分しかない。常に問われているのは、自分から変わる気持ちを持てるかどうかだ。このことに気づいた途端、心が晴れ晴れとしてきたのです。
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とても考えさせられる内容で言葉になりません。目指す志に向かおうとすればするほど、立ちふさがる障害が高くなるような気がするんです。これは、試されているのだろうか。と考え込んでしまいます。
自分の今やっている方法がうまくいかないのは、自分が悪いからであるという自責の思いから始めなければ物事の根本の解決策はないようです。だから、一旦、原点に帰り見直してみるのも方法ではないだろうか。そして、もう一度歩んでいく。
「諦めなかった人だけが、本物になるんだ!」という意志で進んでいきます。