2016年6月28日(火) 650/1000
<子供たちの教育>
皆さんおはようございます。
「幸せの国ブータンに暮らして」より抜粋 その3
菅沼泰久氏
******************************************************************************************
ブータンの社会は、日本以上に学歴社会です。小学校から大学までの間に、人生を左右する重要な試験が何度かあり、そこで好成績を収めた者から順に自分の希望する進路へ進んでいくことができるのです。
学生たちのほとんどは、最終的に公務員になることを目指しています。公務員は、ブータンの若者たちにとって憧れの職業なのです。
しかし、魅力的な職業であるべき公務員の実態を知ると、がっかりさせられます。私の配属先は、公共事業省道路局という国の役所で、同僚は国家公務員でした。彼らの中には、朝出勤してから一日中ずっとインターネットに熱中して、夕方終わりの時間になったら帰るという生活を毎日繰り返している人もたくさんいました。一旦公務員になってしまえば、その後の人生は安泰だと考えている人たちが、国を動かす中央省庁にもたくさんいるのです。
そういう人たちにかぎって、「GNHの国ブータンは、急激な発展をする必要はない。仕事だけが人生ではないはずだ。」などという言葉をよく口にするものでした。
私には、これはただの甘えにしか聞こえませんでした。真剣に国民のことを考えた末に、GNHという概念を考え出した国王に対して失礼ではないでしょうか。
今後ブータンがますます発展して成熟した国家となっていくためには、、やはり未来の主役である子供たちへの教育は重要です。私は、子供たちの人格形成の基礎となる家庭教育は、学校以上に大切だと思います。一昔前までは、人々は田舎で農業を営みながら大家族で生活していました子供たちは、長い時間をかけて山道を歩いて通学していました。ところが今では、人々の農業を辞めて首都に移り住み、首都では核家族化が進んでいます。親たちは、かわいい我が子を毎朝車で学校まで送り届けています。 教育の充実に力を入れているブータンですが、どうも前途多難な気がします。
******************************************************************************************
人間というのは、お金に裕福で仕事もしないでいるとすれば、堕落の方向に進んでいくのが常ではないでしょうか。それだけ人間というのは弱い生き物であると思うのです。だから天は仕事というものを与えた。仕事は、単に生活の糧というだけでなく、仕事を通じて人間性を高めていく道具でもあると思うのです。だから安易に楽(らく)してお金を稼ぐということがあれば、そのツケは人生の中で清算されると教えられました。
人間らしい生き方、働き方は、どのように受け継がれていくのか。今では殆ど見かけなくなってしまったが、祖父母、両親、子供という三世代同居という昔では当たり前の姿が消えた。どうやら、社会の崩壊は、ブータン同様に核家族化が根本にあるように思えたりします。
三世代同居にもよい点、悪い点がありますが、この家族構成になにやら子供たちへの大事な教育があるように考えるのです。
子供たちに一人ひとりに個性があります。だから子供のやりたい事を尊重して、自由闊達(かったつ)を育む教育が望ましいのではないだろうか。勉強も大事、されど、人間形成を育む大事な幼少期の教育こそ、今の時代に最も必要なのではないだろうか。 大人たちが子供たちに恥ずかしくない生き方をしている姿を見せることこそが教育の根本であると考えるのです。