2016年6月9日(木) 631/1000
<掃除の質と仕事の質>
皆さんおはようございます。
「正しく生きる」 より引用 その7
著者:鍵山秀三郎 (発行所:㈱アスコム)
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そのお寺には、座禅のためにたくさんの人が集まってきます、御老師さんが、
「あなたはなにをしに来たのか」とたずねると、人々は口々に「心を磨きに来ました」と答えます。「それでは、あなたの心をここに出して磨いてごらんなさい」と御老師さんが言うと、みなびっくりして「できません」と答えます。「取り出して磨くことのできないものを、あなたはどうやって磨くのですが」と御老師さんが聞くと、みな返事に困って黙ってしまいます。
この御老師さんは、板橋興宋老師という方ですが、「心を取り出して磨けないものだとしたら、磨けるものを片っ端から磨きなさい。それが間接的に自分の心を磨くことになる」と人々に言われました。見ているものに心が似るのだから、目に見えるものすべてを磨きあげれば、心も磨かれるというわけです。
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トイレ掃除実践道場、第3期生がスタートしました。当社では、若い人から順番にトイレ掃除を1年間実践してもらっています。既に12名が卒業しました。
夏場の猛暑、冬の寒さに耐えながらのトイレ道場は、なかなか大変なものです。一年間、便器と向き合っていくわけですから、自ずと自分と向き合うことになります。自分には嘘はつけませんからね。
「今日は、手をぬいたなぁ」、「今日はやりたくないなぁ」、というマイナスな気持ち。反対に「今日もキレイになったなぁ」、「今日はいつも手が届かないところまでできた」という満足感。というように、日々の素直な感情と向き合いならがの格闘となるわけです。
掃除の取り組む姿勢は仕事の原点とも言えます。掃除に手を抜く人は、仕事でも手を抜きます。掃除を一生懸命にやる人は、仕事も一生懸命にやります。要は、掃除というのは、その人の心の全てが出てしまうものであると考えています。掃除は自分でコントロールできてしまうから難しいのです。だから自分を鍛える道場と言われる所以なのです。
板橋氏がおっしゃる、「見ているものに心が似る」。納得できる言葉です。
掃除の質は仕事の質。簡単なようで簡単ではありません。