2016年6月2日(木) 624/1000
<今、ここにいる!>
皆さんおはようございます。
致知6月号(致知出版社)より引用
「人生を照らす言葉」 その2
国際コミュニオン学会 名誉会長 鈴木秀子氏
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私たちはすぐに過去の出来事にとらわれ、まだ来ぬ先のことをあれこれ心配しがちです。しかし、過去や未来は頭で勝ってに思っているだけで現実に存在しているわけではありません。あるのは、いま、この瞬間だけ。いまの一瞬に生きる生き方こそが本物であり、茶の湯はそれを教えてくれていあます。
過去や未来の雑念から解き放たれ、いまの一瞬に生きた時、心はどこまでも静寂になります。その時にフッと心の奥底から湧き上がってくる思い。それが魂の声です。
いまの一瞬に生きることは、茶の湯や禅の教えの根本です。しかし、特別な環境を求める必要はありません。ベトナム出身の禅僧ティク・ナット・ハンは、交差点で信号を待つ間、3秒間深呼吸をして心を静めるだけでも、いまの自分の心を引き戻せる、と言っています。
普段は聞き流している鳥のさえずりや心地よい風を受け止める肌の感覚に思いを止めれば、それだけで私たちはいま、ここに生きていることができるのです。
私は最近、つくづく思います。全宇宙はいま、ここにある。その宇宙は一瞬にして流れ去って、新しい宇宙にすべてが溶け合い、人々は皆ひとつに結ばれていく。そして、宇宙は無条件の愛によって生み出されて、すべてが完璧である、と。
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G7伊勢志摩サミットが終了した。オバマ大統領は歴代大統領で初めて広島の平和記念公園を訪問し、原爆資料館や原爆ドームを見学し原爆死没者慰霊碑に献花した。
広島への訪問までの経緯は、政治的な意味や思惑がうごめいているだろうが、原爆投下した戦争相手国の大統領が訪問されことの意義はある。広島市民の抗議デモもあったようだが、無事に終えたことがなりよりである。
オバマ大統領のスピーチに、ある評論家のコメントが心に残った。スピーチは確かに立派であったが、事前に準備された内容である。大事なことは、原爆資料館を見学してオバマ大統領としての感想、被爆者と直接対話をした後にオバマ大統領としての感想を述べるべきであった、という。
アメリカ大統領の言葉であるので、より慎重になるのは当然であるが、広島に訪問したからには、それなりの強い意志があるからと思いたい。
G7のテーマにあったであろう、クリミア問題、北朝鮮問題、テロ組織ISなど、世界紛争の火種があちこちにあり、この不安定な世界の未来がどのようになっていくのか心配である。
しかし、ここでは、そんな未来を憂い、心配しても意味がないという。今、この瞬間を真剣に生きていないものが、未来を創れるはずがない。今、ここに生きるためには、今、自分がここにいなければいけない。「今、ここにいる!」、それを感じることだ。
それを感じたとき、心と体が一体となって無理なく大自然の一部となるような気がする。その時の直観やひらめきは、大自然の声ではないだろうか。