2016年5月26日(木) 617/1000
<品性を磨く>
皆さんおはようございます。
致知6月号(致知出版社)より引用
「かくて大地震という関を越えてきた」対談
男山本店社長、気仙沼商工会議所会頭 菅原昭彦氏
熊谷電気社長、宮城県倫理法人会副会長 熊谷光良氏
******************************************************************************************
(熊谷)
そもそもあの大震災を目の当たりにすると、関を越えようという気すら起きませんよ。ただ目の前に起きたことを素直に受け止めて、物事に対する執着心をなくすことによって、前を向いて歩いていける。そういうことかなと思っています。
この5年間を振り返ってみると、やっぱり「逆境に勝る教育なし」。この言葉が身に沁みますね。逆境から学んだことを1つひとつ実践していくことかなって思うんです。
その中で、私自身が経営者として心掛けているのは、「品性を磨き高めること」。もう1つは、「常に天から見たらどうなのかという視点を持つこと」です。トップをやっていると、右に行くか左に行くか、どっちか選択しなければいけないときがあるじゃないですか。その時に自分の私利私欲を捨てて、天から見たらどっちがいいのかっていう判断基準を持つようにしているんです。それが結果として、品性を磨き高めることにも繋がるような気がしています。
私は今回の震災で有形の財産をすべてなくしたわけですが、なくしたって考えると大変なんですよ。でもそうじゃないと。天の大きな賽銭箱(さいせんばこ)に全部寄付したと思えば、熊谷電気は未来永劫(みらいえいごう)栄える(笑)。
こう考えると気持ちが明るくなってくるじゃないですか。
今回の震災では実に多くの方が亡くなりました。いま生きている人も、いつかは必ず死にます。死というものは身近にあるもので、朝日が覚めて、体を動かすことができる。そのこと自体が奇跡の連続なんですよ。
だから、神様にお借りしている肉体を返す時がくるまで、命があることに感謝して、きょう一日できることを一所懸命、精いっぱいやるのみだと思います。
******************************************************************************************
2011年3月11日 東日本大震災発生から5年。震災時に石巻市の開北小学校に支援物資を輸送したのが昨日のように思い出します。
確かに熊谷氏の言う、人間の物に対する執着心は強い。一度手にしたものは失いたくないのはよくわかる。でもその執着するとらわれの心がなくなった時、打つ手が無限に広がってくるのでしょうか。物欲が強いとらわれの心なのでハードルが高いです。
逆境と言われる苦難は、自らが選んだわけでもなく突然とやってくる。逆境を乗り越えるごとに人間は強くなっていくのでしょう。 人間としての強さは、凛とした己を創っていくこと。人間は道に迷ってしまうときがあるもの。その時こそ、己の善なる心に問いかけること、誰かが見ているのではなく、天に向かって正々堂々と言えるかどうかが問われるわけです。それが己の品性を高めることになっていくのでしょう。
しかし、多くの場合、不自然なことでも自分が正しいとねじ曲げ、自分の考えや行動に言い訳をして正当化していく。なぜなら自分は”自分の考えはおかしい”と認めたくない防衛本能が働いてくるからではないだろうか。そんな悪いヤツは、心の奥底に閉まってしまい分からなくなるのです。たくさん見覚えがあるので恥ずかしい限りなのです。
京都の大徳寺大仙院 尾関宗園和尚の言葉を思い出します。
「心は行動となり、行動は習癖を生む。習癖は品性をつくり、品性は運命を決する」
「品性は運命を決する」と言われるように、己の品というものを高めていくこと。これは、生きていく上で大いなる課題である。まずは己の品のなさ、だらしなさを認め、自己修練に努力をしていきたいと思います。