2016年5月13日(金) 604/1000
<今を生きる>
皆さんおはようございます。
子どもの心に灯をともす 日本の偉人も物語」(致知出版社)より引用 その7
著者:白駒妃登美氏
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正岡子規は、江戸時代に、四国の武士の子どもとして生まれました、子規が生まれてすぐに明治維新が起こり、武士の歴史は終わるのですが、子規は、自分が武士であることに、誰よりも誇りを持ち続けました。
そして、武士道に人一倍強い憧れを抱き、「武士道における覚悟とは、何か」を、幼い頃から自問自答してきたそうです。そんなある日、子規は自分なりの答えを見つけます。それは、「武士道における覚悟とは、いついかなるときでも平然と死ねることだ」というものでした。
その後、子規は若くして脊椎(せきつい)カリエスという難病にかかってしまいます。
その苦しみの病床で、子規は本当の「覚悟」が、自分の思っていたものと真逆であると気づくのです。
本当の覚悟とは、いついかなるときでも平然と死ぬことではない。どんなに痛くても、どんなに苦しくても、「今」という一瞬一瞬は生かされているのだから、その生かされている「今」を、平然と生きることこそが本当の覚悟だ。正岡子規は、そう悟ったのです。
いかに勇ましく最後と遂げるのか、ということが武士道だと考えられがちですが、子規は、「何が起ころうとも平然と生きることが、本当の勇気であり、覚悟である」という境地に至ったのです。
考えてみると、人生の多くの悩みは、過去の後悔か、未来への不安によって生まれるものです。過去も未来も、思い切って気にすることをやめて、「今」に生きれば、ほとんどの悩みは雪のように消えてなくなるでしょう。
もし、「今、この瞬間に悩みがあるな」というときは、それはたぶん、「ここ」を見ていないのではないかと思います。もっといい環境、もっといいチャンスがあるのではないかと周りばかりを見ていたり、人と自分を比べて、自分の能力や置かれた環境を嘆いたり、人からどう思われてるかを気にしていると、悩みが尽きないですよね。
気持ちの中で、時間を「今」に合わせ、視点を「ここ」という一点に集中すれば、悩みの入り込む隙間なんて、なくなってしまうのではないかと思います。
どんな状に置かれてもあきらめず、「病気が治ってほしい」とこだわるわけでもなく、今、自分に与えられた環境を受け入れ、そこで出来る精一杯のことをする。そんな生き方を、正岡子規は実践していたのです。
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「今に生きる」、これは難易度の高い課題です。一つの悩みが解決すると、また次の悩みが表れてくる。悩みの尽きるときはありません。そんな悩みの多くは、考えても考えても解決できないという悩みも多い。なぜなら、その多くは白駒氏の言う、いまだ起きてもいない未来を自分勝手な想像による心配事から表れてくる悩みが多いのではないだろうか。
未来を今以上によい状態にするために、今というこの瞬間を精一杯生きることに集中することさえしていれば、未来を憂いている暇はありません。と生意気を言いますが、未来を心配してこの瞬間も悩んでいる。悩みというのは消えることはありませんね。
しかし悩みがあるから「希望をもとう」、「前向きに生きよう」と思えたりもします。悩みを思考から消すのではなく、今この瞬間に意識を集中することが大事なのでしょうか。
「なんで俺ばっかり」、「なんて不幸なんだ」と思うのではなく、今置かれている状況をすべて受け入れることが大切であると思えたりします。なぜなら、何を思ったところで、今、降りかかっている状況は、良くも悪くも変えることができないからです。変えることができるとすれば、未来に希望をもって今この瞬間に、精一杯生きることしかないのではないだろうか。
「何が起ころうとも平然と生きることが、本当の勇気であり、覚悟である」という言葉は、心に染みます。