2016年4月4日(月) 565/1000
<会社の使命>
皆さんおはようございます。
致知出版社 致知3月号
「明日に託す思い」より抜粋 その2
日本を美しくする会相談役 鍵山秀三郎氏
志ネットワーク代表 上甲 晃氏
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(上甲)
私は年に一回、松下電器に同期入社した仲間と温泉旅行をするんですが、そこで「俺たちがいた時代は、会社を辞める時にはいい会社に勤めたと皆言っていたけれども、最近は言わなくなったらしい」という話になりましてね。
あの頃よりいまのほうが売り上げも知名度も遥かに高まったけれども、いい会社と言わなくなったのはなぜか。それは、会社の業績回復のために打った手段が、従業員にとっては身を切られるような改革ばかりだったんですね。
一万人の大リストラと経済誌で持てはやされたけれども、社員は明日クビになるかもしれないという不安に晒(さら)され、それまで懸命に取り組んできた事業が切り捨てられる悲哀を味わい、そんな経験を強いられるうちにいい会社とは言えなくなってきたわけです。
企業は業績回復にばかりとらわれているけれども、本当に回復しなければならないのは精神ではないか。売り上げとかそんなものの前に。社員を幸せにし、お得意先に喜ばれ、社会にも貢献する仕事をしようという、そういう精神を取り戻していかないと、どうしても社員にしわ寄せが来て、かつてのいい会社からは遠ざかっていくばかりだと思うんです。
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売上とか利益はたくさんあった方いい。まして赤字を経験しているものにとっては、売上、利益を追いかけたくなる。でも追えば追うほど遠ざかるような気がしてならない。 なぜならお客様は他社の売上や利益なんて全く興味がない。お客様が求めるものは「いい仕事」であるからと師匠から教わった。言われてみれば至極当たり前なことである。
コストを削減するために社員とコミュニケーションである忘年会や社員旅行を無駄と決めつけ取り止めてしまい社員とのコミュニケーションがないと嘆く。挙句の果てに、利益が上がらなければ給与をカット、リストラともなれば会社は何のために存在しているのかわからなくなってくる。きれいごとばかり言っていられないのだろうが、そのような事態にならないように経営をしていかなければならない。
元来、会社は「人の幸せ」をベースにしなければうまくいくはずがないと考えるのです。働く人の経済的な豊かさ、心の豊かさ、働く幸せというバランス。そしてそれらを向上させていくことが会社の使命であり追及していくものであると考えるのです。