2016年3月2日(水) 532/1000
<何を貢献するのか>
皆さんおはようございます。
致知出版社 致知3月号より引用
「信念を抱いて願うことは必ず実現する」 その2
王将フードサービス社長 渡邊直人氏
アサヒビール社長 福地茂雄氏******************************************************************************************
大震災の時、京都で大東の取材のお手伝いをしていたら、グラグラッときましてね。テレビであの大津波の様子を見てビックリしていると、関東では帰宅できない、食べ物がないといった情報が次々と入ってきました。
その時に阪神・淡路大震災の経験が思い起こされ、これは何とかしなければいかんと思ったんです。
幸いうちの従業員に大きな被害はなかったので、家族のいる従業員は全員帰してからお店を無料開放して、人手がなくてもできるラーメンとかおむすび、それから温かいスープを提供させていただきました。
翌日東京へ来てみたらまぁ悲惨な状況だったんですが、仙台の店はもっと酷いことになっていると。食べるものが底を突き、携帯のバッテリーもなくなって、三月の十五、六日に最後のメールが来て連絡も途絶えてしまったんですよ。
これはいかんということで、警察で通行許可をいただき、東京のセントラルキッチンから食材をトラックに積み込んで、まだボコボコの高速道路を通って現地に向かいました。うちの店は市内に一店と、もう一店は郊外にあって、すぐ近くまで津波がきてとても被害が大きかった所でしてね。メディアの方に情報発信していただいてすぐに炊き出しを始め、熱いぶっかけラーメンをお出ししました。
そうしたら七十歳くらいの年配のご婦人が私の所にパーッと駆け込んできておっしゃったんです。
「家も家族も流されて、早く死にたいと思ったけで、生きていたらこんなに美味しいものが食べられるんですね。この一杯のラーメンで、また明日から頑張ろう、生きていこうという気になりました」と。 その時は本当に嬉しかったですね。食べ物屋をやっていて、これほどの喜びはないですよ。
人から何かをしてもらうことよりも、自分が何かをして人に喜んでもらう時の感動のほうが大きいことを実感しましたし、私の天職は食べ物屋で、食べ物を通じて人に貢献していくことだという自覚を新たにしましたね。******************************************************************************************
「自分が相手に何かをしてあげたとき、相手に喜んでもらった方が自分ひとりの喜びより、もっと大きな喜びが得られる」。ということを教えて頂いたことがある。
誰しも自分のことが一番可愛いし、自分の身が一番心配である。しかし、自分のことだけでなく、半分は相手のため、周囲の人の喜びのために働くともなれば、今まで感じることのなかった相手からの感謝を受け取ることになる。この喜びはかけがえのないものであり、とても嬉しいことです。
私たちは何のために生まれてきたかということを素直に考えると、「人生を楽しむこと!」と言いたいのです。では人生を楽しむためには一人で楽しむことはできません。だからこそ人のお役に立つ、人の喜びのために自分を使うという気持ちになるわけです。
どこの会社も経営理念、社是に「社会貢献」と示されている。では、我々は何に貢献しているのだろうか。
運送会社は、運ぶことを通じてお客様や社会に対してどんな貢献をしているのだろうか。
お客様のご要望なのか、雇用なのか、果たしてなんであろうか。
そもそも、私たちは、何に貢献したいと考えているのだろうか。