2015年11月23日(月) 432/1000
<バックボーン>
皆さんおはようございます。
致知出版社 発行
「日本人の心の教育」より引用 その2
著者:堺野勝悟氏
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アメリカの雑誌記者のラフカディオ・ハーンという人が、世界のいろいろな国の民族学の調査をするために、日本にも来たんです。そしてかれは、日本という国の原点を調べるために、出雲(島根県)の松江にきました。出雲の国は日本が起ったところですね。そして、松江中学校の英語の先生になって生活を始めました。
松江では武家の屋敷を借りて暮していましたが、ある日の朝方、まだ太陽が昇る前に、自分の家の塀の先で、大勢の人がガヤガヤガヤガヤ言っている。なんだろうと思ってひょっと垣根の外を覗いてみたら、村の人が川堀でうがいをしたり、顔をあらったりしているんですね。一体この人たちは何をしているのかと思って見ていたら、山から太陽が昇ったとたんに、みんな太陽に向かって、「きょうも一日お願いします」と言ってパチパチと手を打ってお祈りしていた。
これを見てラフカディオ・ハーンは、「世界にこんなすばらしい国民はいない。私はこの国の国民になる」と言って、小泉八雲(やくも)という名前で日本に帰化するんです。そして自分のお嫁さんも、日本人以外はもらわないということで、節子さんという日本人の女性と結婚して、お子さんをもうけているんですね。
ラフカディオ・ハーンが、日本がすばらしいと言ったのは、日本人が太陽のめぐみを大事にするからだったのです。太陽からのめぐみに感謝して生きるという心のバックボーンを持っている日本人に、すっかり心を奪われたということですね。
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初日の出に手を合わせお祈りをする。日本人独特の精神といえる。自然界の源とも言うべき太陽の大いなる存在に感謝するという思想は、太陽ばかりではなく、何事にも通じる姿勢であると考えるのです。
自分という存在は太陽なくしてありえないと同じように、多くの人の支えがあるからこそ生きている、生かされているという感謝の念いとなってくる。心より「あぁ、有り難い」と思えてくるのです。
人生という限られた時間を費やしていく中で、「いかに生きるか」というバックボーンがある人は強い。そんな人は、不動の心をもち、なんとも言えない風格がでていると思うのです。そんな人間に少しでも近づけるように日々努力をしていきたいと思います。