2017年8月18日(土) 1004回目
<忍耐>
致知7月号(致知出版社)
「禅語に学ぶ」 より抜粋 その2
鎌倉円覚寺管長 横田南嶺氏
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鍵山先生は、周知の通り一代で「イエローハット」を創業され、自動車用品業界であって常に掃除を心がけ、「日本を美しくする会」を立ち上げられた。荒れた学校の手洗いの掃除をされたり、街頭で掃除をされたり、活動は国内各所に及び、遠く海外にまで出かけて掃除をされた方だ。
先生は、何不自由のない環境で育ったが、終戦を迎えすべてを失い、塗炭(とたん)の苦しみを舐めながら、自動車用品業界で働かれた。無一物から創業をされて、今日の「イエローハット」を築かれた。そのご苦労は並大抵ではない。そして常に掃除をして、綺麗に、正直に偽りなくお仕事をされてきた。筆舌の尽くし難い様々なご苦労も拝聴させていただいた。
そんなご苦労にも拘わらず、先生には暗さがなく、いつも明るい笑顔である。「先生は大変な苦労をされているのに、どうして、いつもそのように笑顔でいられるのですか」と聞いてみた。先生は、「辛い目には嫌というほど遭ってきました。しかしそれに対して怒りや憎しみを懐いていては、自分自身によくないのです。怒りや憎しみは自分を損なうだけです。そう自分自身に言い聞かせてきました」と教えてくださった。
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生きていれば、嫌なことや辛いこと、困難ということは誰にでもあります。そんな時に怒りや憎しみを懐いていても、問題の解決にはならないわけです。それどころか、自分の精神(心)が蝕まれ、人相までおかしくなってきます。挙句の果てに、体に病に侵されていきます。まさに「病は気から」というものでしょう。
「笑う門には福来る」というように、どのような状況におかれても、全てを受け入れるというつもりで、笑顔でいきていく。そんな度量をもって生きていきたいと思います。