2015年4月25日(土) 220/365
<人と向き合うこと>
皆さんおはようございます。
致知5月号
「がん哲学」が日本の医療を変える」 より抜粋 その2
順天堂大学医学部 病理 腫瘍学教授
樋野興夫氏
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例えば、がんの治療を終えて職場復帰を果たしたものの、もとの重要な仕事に戻らせてもらえないことへの
辛さを露土(ろと)する患者さんには、「人生の目的は、品性を完成するにあり」という内村鑑三の言葉を送りました。
人生の目的は仕事の成功でも世間の賞賛、ましてやお金持ちになることでもありません。
それよりもいまの自分の目の前にあることに一所懸命に取り組むこと、そして、
人に喜んでもらうことによって品性が磨かれていくと。
ですから耐えることで品性を磨くことによって本当の希望が生まれるということを、
対話の中で患者さんに伝えていきました。
他によく使う処方箋としては、がんの宣告を受けて平静を失っている患者さんには、
「目下の急務は忍耐あるのみ」とか、自分の生きた証を残したいと切実に願う人には、「勇ましい高宗なる生涯」、
そして、生きる術(すべ)を見失い、自殺未遂をしかねない患者さんには、
「あなたには死ぬという大切な仕事が残っている」といった具合ですね。
ほどんどの人が涙を流します。不満顔で来た人や、人前で涙を流したことのないような人まで泣くのだから
不思議ですよ。患者さんだけでなく、一緒に来た家族も同じです。
そして、帰る頃に患者さんの表情が明るくなっていると本当に嬉しいですね。
一番苦しんでいる人の笑顔を見ると、何か人間の尊厳に触れたようにすら感じます。
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がんの治療薬の変わりに「言葉の処方箋」を出している樋野氏。
「言葉の処方箋」により患者に生きる希望を与え、気づかせていく。
生きるということ、そして、死ぬということ。
会社に於いても同じことだ。
従業員は、いろんな悩みを持っている。家庭、仕事、友人、病気、環境、数えればきりがない。
その中には、甘ちゃんもあるだろうが、一人ひとり思いの深さは違う。
そんな従業員に向き合っていただろうか。
いつでも来られるようなドアを開いていただろうか。
会社とは仕事をするところであることは間違いない。
でも一人ひとりの人生がある。その人生を会社という共通の場所で過ごしているご縁がある。
本当に従業員の幸せを考えているだろうか。
それは口先ではないだろうか。
今一度、社長の役割を考えてみたいと思います。