053-574‒2161 【受付時間】9:00~18:00 (土日、年末年始、GWを除く)

  • お問い合わせ
  • 053-442-6775
  • 応募フォーム

新着情報

扉の先

2018年05月25日

2018年5月25日(金) 1010回

<扉の先>

迷子のすすめ(春秋社)より抜粋 その4

阿 純章著 

********************************************************************

 バクダットにある男が住んでいた。彼は若い頃、商人として成功をおさめ、すべては自分の能力のおかげだとうぬぼれて神を信じず、祈ることも戒律を守ることもせず、不埒(ふらち)な生活をしていた。

 ある夜、その男のもとに、美女になりすました悪魔が近づき、罠を仕掛けた。気がつくと、男は111の扉に囲まれた円形の広大な建物の中にいた。すると、どこからともなく声が聞こえ、扉をどれか一つ自由に選んで出ていくがよいと告げる。しかし、ある扉の向こうは血に飢えたライオンが待ち構えているかもしれないし、また、ある扉の向こうには妖精のいる美しい花園があるかもしれない。しかし、一つの扉を開けば、その瞬間に他の全ての扉は永遠に閉ざされるという。やり直しはきかない。

 どの扉を開くか決心のつかぬ男は、姿なき声に幾度なく翻弄されて堂々巡りを繰り返した。やがて長い年月が過ぎ、白髪の老人に身をやつした男は、とうとうその無意味な戦いに何も望まなくなり、ついには扉に関心を示すこともなくなった。

 すると、はじめは気がつかなかったが、明らかに扉の数が減り始め、最終的には向かいあう両側に扉が一つずつ残るだけとなった。しかし、男は、無数の扉から選ぶのも、二つの扉から選ぶのも、とどのつまりは同じことだと悟り、選択することを放棄して、そのままその場所に留まった。

 そして次に目を覚ますと、もう扉は一つもなくなっていた。そこで男は完全な自由とは、完全な不自由であることに気づき、自由意思という妄想を永久に放棄してアラーの神に帰依した。

 すると円形の建物は幻のように消え去り、男はバクダットの城門で盲目の乞食となっていた。

 とても不思議な物語ではあるが、自分の身に置き換えてみると、なんとも身につまされる気がする。私たちの人生も目の前にいくつもの扉が並んでいるかのようである。一体どの扉を開けたら、幸運が待っているのだろうか、あるいは不幸が待ちうけているのだろうか。

 人生には選択の自由があったほうがいいが、あまりに選択肢が多すぎると、その自由がかえってストレスになる。なかなか選べずに扉の前で選ぶべき理由をあれこれと考えるが、所詮、扉の向こう側の結果はどうであるか分からない。

 先ほどの小説の中に、姿なき声の主が男に語る次のような一節がある。

 生まれてからこれまでというもの、おまえはあれやこれやと決めたときに、理由があると信じていた。しかし、真実のところ、おまえが期待することが本当に起こるかどうかは、一度たりとも予見できなかったのだ。お前の理由というのは夢か妄想にすぎなかった。あたかも、これらの扉に絵が描かれていて、それがまやかしの指標としてお前をだますようなものだ。人間は盲目だ。人間がなすことは、暗闇の中へとなすのだ。ある者は結婚を祝い、二日後にはすでにやもめになることも知らぬ。またある者は苦悩と苦難がゆえに首をくくろうとするが、富をもたらす知らせがもうすぐ届くことを知らぬ。

 自分の進む道を自由意思で決めたとしても、その理由には何の根拠もないのである。だとすれば、自由であることに一体何の意味があるであろうか。どの扉を開けるにしても、私たちの不安を和らげてくれるものではない。たとえ勇気をもって扉を開けたとしても、もしもその結果が不本意なものであったりすると、「あっちの扉を選んでいればこうならなかった」と後悔して嘆くのである。

 結局のところ、扉の前にいても、どれを選ぶべきかと思い悩み、開けて扉の向こうに行ったとしても、選ばなかった扉への未練が残る。私たちの頭の中にはいつもたくさんの「もしも」という扉が並んでいて、それが将来の不安と過去への後悔という感情を生むのだ。

********************************************************************

未来というのは、誰にも分からない。分からないから希望が持てる。しかし、その未来を少しでもよくしようと欲をかいているのであるが、その欲が自分勝手の欲ばかりに支配され、俺は不幸せだ、あれも欲しい、これも欲しい、もっと欲しい、と心の中では思っている。そして、どっちに行けば、得があるだろうかと選択しています。

そこには、自分だけがいて、相手の存在はなかったりする。そんな醜い自分がいるわけです。

未来は選択の繰り返しです。例えば、「明日は、早起きをしよう」と決意したとする。でも、朝になってサッと起きることもできるし、いつものように二度寝もできます。今から遊びに行くこともできるし、勉強することもできる、という選択の連続をしているわけです。

過去にも、就職、結婚、など様々な選択をしていて、決めてきたのは自分自身です。そのように考えると、未来というのは、自分の意志で如何様にもなると思えたりするわけです。

人生に「もしも」はなく、後戻りもできませんし、この瞬間も過去になっていくわけです。だから自分にとって後悔のない選択をするために、開いた扉の先にあるもの全てを素直に受け入れることが大切なように思えるのです。

 

この記事を読んだ方に
人気の記事

  • 社長ブログ 2023年01月08日

    母性のスイッチが入る瞬間

    2023年1月8日(日) 1065回  <母性のスイッチが入る瞬間> ***********************...
  • 社長ブログ 2023年01月07日

    募金活動に立ち上がった生徒

    2023年1月7日(土) 1064回  <募金活動に立ち上がった生徒> *********************...
  • 社長ブログ 2023年01月06日

    幸せも不幸せも自分の思い次第で決まる

    2023年1月6日(木) 1063回  <幸せも不幸せも自分の思い次第で決まる> ***********...

まずはお気軽にお電話ください

倉庫見学、システム説明などすべて無料
ご案内いたします。

  • 053-574‒2161
  • 応募フォームはこちら